研究職

大学の研究所ってどんなとこ!?大学との違いは!?

2023年5月8日

今回記事を担当するのは「まだ」です。

「まだ」は高校まで地元の田舎町で育ちました。

田舎といっても地方都市にはいまして、現在、地方大学の教育・研究職(助教)として働いています。

研究に関しては、大学4年生のときに研究室に入ってから修士課程・博士課程と研究を続け、かれこれ約10年ほど研究ばかりしています。

将来、大学で研究をしたいと考えている人もいるのではないでしょうか。

大学や大学院にはさまざまな学部・学群や大学院がありますが、比較的大きな規模の大学になると研究所というところがあります。

わたし「まだ」はこれまで3つの大学を渡り歩いてきました。大学の学部・大学院と研究所どちらにも所属した経験があります。

今回は、「まだ」の経験から

  • 大学の研究所ってどんなとこ?
  • 大学の学部等と研究所の違い
  • 大学の研究所のメリット
  • 大学の研究所のデメリット

などについて記載していきます。

研究職とは

研究職は学術的アプローチにより、これまでにない技術や理論を創出する仕事です。

研究職は「基礎研究」「応用研究」に分類できます。

基礎研究

基礎研究は、まだ発見されてない未知の物質や原理を発見し、そのメカニズムなどを理論的に解明していく研究のことです。

基礎研究は、より学術的なアプローチが求められ、大学や国の研究機関で行われている場合が多いです。

応用研究

応用研究は、基礎研究により発見された知識を利用して、実用化に向けて発展させる研究です。

応用研究は、新しい物質や原理を利用して、製品やサービスをつくり出すため、企業で行われる場合が多いです。

大学の研究所ってどんなとこ?

まずは大学の研究所となどんなところなのかについて記載していきます。

大学の研究所は、大学の学部等から独立し、研究や教育を行うために設置された施設のことです。大学に附置研究所というかたちで設置されていることが多いです。

附置研究所を設置している大学数は、現在全国に20大学あります。

大学の研究所の目的は、特定の研究領域に特化して、学理の構築や応用研究を推進し、学問の進展や社会の課題解決に貢献することです。

大学の研究所では、研究者以外にも学生に対しても研究の機会が与えられています。学生は、研究者の指導を受けながら、自分の研究テーマを設定し、研究を進めることができます。

大学の学部と研究所の違い

学部と研究所は、大学内に設置された施設であるという共通点がありますが、その目的や役割は異なります。

学部は、大学における教育の基盤となる組織であり、学生たちが学位を取得するために必要な教育課程を提供しています。

学部には、文学部、法学部、理学部、工学部、医学部、経済学部など、専門分野ごとに設置されています。

学部では、学生たちは主に講義や実習、演習などの授業を受け、自分の専門分野における基礎的な知識や技術を身につけます。

一方、研究所は、大学における研究の中核となる組織であり、学問の進展や社会の課題解決に貢献することを目的としています。

研究所には、専門的な研究分野に特化した研究室や、複数の研究分野を跨いだ総合研究所があります。

研究所では、研究テーマに沿って研究計画を立て、実験や調査、分析などの研究活動を行います。また、研究者や学生が共同で研究を行うこともあります。

学部と研究所は、相互に補完的な役割を果たしています。学部で身につけた基礎的な知識や技術をもとに、研究所でより専門的な研究に取り組み、新しい知見を発見したり、社会の課題解決に取り組んだりすることが期待されています。

大学の研究所のメリット

大学の研究所で働くメリットについて記載していきます。

  1. 自由度が高く、高度な研究ができる
    大学の研究所では、研究者自身が研究テーマを設定し、研究計画を立てることができます。自分が興味を持っている分野や社会に求められる分野に取り組むことができ、独自の視点で研究を進めることができます。大学の学部や大学院でも同様に自由度の高い研究ができますが、企業ではこのようなスタイルで研究はできません。また、大学の研究所には海外からの留学生やポスドクの人がたくさんいます。「まだ」が所属している研究所の学生とポスドクの半数以上は外国人です。日本人に比較し外国人の方が研究に積極的に取り組んでくれるため、より高度な研究ができる印象です。
  2. 社会貢献ができる
    大学の研究所での研究は、学問の発展だけでなく、社会の課題解決につながることが期待されます。自分の研究が社会に貢献することができるため、やりがいを感じることができます。より応用研究に近い企業では実際に製品やサービスを生み出しているので社会貢献は当たり前ですが、大学の学部では社会貢献を意識していない研究室は研究所に比較して多い印象です。
  3. 研究者同士の交流が盛んである
    大学の研究所では、研究者同士が交流するためのセミナーや研究会などが比較的多く開催されています。異なる研究分野の研究者と交流することで、新しい知見を得たり、研究の発展につながったりすることができます。企業に所属していると学会発表などにも自由に参加できず、研究者同士の交流があまりできません。学部に比較しても、研究所の方が、セミナーや研究会が多く、研究者との繋がりが増えます。
  4. 教育活動にも携わることができる
    大学の研究所では、研究だけではなく教育活動にも携わることができます。研究所に所属しながら、大学の学部や大学院の授業を担当します。また学部の研究室配属では学部から研究所に配属される学生もいるため、自分が行っている研究を学生に教えることで、教育の面でも貢献することができます。

大学の研究所のデメリット

続いて大学の研究所で働くデメリットについて記載します。

  1. 研究成果に対するプレッシャーがある
    大学の研究所では、学部や大学院に比較して授業負担は少ない分、研究成果に対する期待も高くなります。なかなか研究成果が出ない時は地獄です。わたし「まだ」は学部と研究所どちらも経験しましたが、研究成果へのプレッシャーは研究所の方が圧倒的に大きいと感じています。
  2. 長時間労働が多い
    研究所なので授業負担は学部に比較し少ないですが、その分、研究に費やす時間は多くなります。研究に取り組むためには、時間をかけてデータ収集や実験、論文執筆を行う必要があります。さらに、外部資金を獲得するために申請書を作成したり、学会活動に参加したりと、長時間労働が多くなりがちで、プライベートの時間が削られることは当たり前です。
  3. 非正規雇用の場合が多い
    大学の研究所では、特定のプロジェクトを遂行するために非常勤講師や特任教授といった非正規雇用のかたちで雇われる場合が多いため、長期的な安定性に欠けることもあります。待遇や福利厚生が不十分な場合があります。
  4. 教育の負担がある一方で、優秀な学部生が配属されない
    研究だけをしたい人にとっては、授業負担があることはデメリットになると思います。「まだ」の周りでも、授業負担が面倒だからという理由で、大学の研究所から国の研究機関へ異動した人もいました。さらに、学部生が研究室配属される際に、研究所の研究室にも配属されます。その際、成績の悪い学生が配属されがちです。これは学生にとって研究所の馴染みがないこと、研究所が学部のキャンパスから遠いことなどが挙げられます。

まとめ

今回は、大学の研究所とはどんなところなのかについて記載しました。以下にまとめます。

  • 大学の研究所は、大学の学部等から独立し、研究や教育を行うために設置された施設
  • 研究所は、大学における研究の中核となる組織であり、学問の進展や社会の課題解決に貢献することを目的としている
  • 研究所のメリット:自由度が高く、高度な研究ができる。社会貢献ができる。研究者同士の交流が盛ん。教育活動にも携われる。 
  • 研究所のデメリット: 研究成果に対するプレッシャー。長時間労働。非正規雇用が多い。教育の負担がある一方で、優秀な学部生が配属されない。

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