記事を担当するのは「まだ」です。
助手の「だま」です。
今回は、大学における研究職の仕事内容について記載します。
現在、地方の旧帝大で研究職として働いています。
研究に関しては、大学4年生のときに研究室に入ってからなので、かれこれ約10年ほど研究ばかりしています。
研究職ジャンキーですね!
学生の頃は、研究だけすればよかったので、集中して研究ができていました。
しかし、仕事となると研究に関連した業務が増えます。
そんな研究人生で私が実際に行っている
大学における研究に関する業務・仕事内容
について記載していきます。
研究職とは
研究職は学術的アプローチにより、これまでにない技術や理論を創出する仕事です。
研究職は「基礎研究」と「応用研究」に分類できます。
基礎研究
基礎研究は、まだ発見されてない未知の物質や原理を発見し、そのメカニズムなどを理論的に解明していく研究のことです。
基礎研究は、より学術的なアプローチが求められ、大学や国の研究機関で行われている場合が多いです。
応用研究
応用研究は、基礎研究により発見された知識を利用して、実用化に向けて発展させる研究です。
応用研究は、新しい物質や原理を利用して、製品やサービスをつくり出すため、企業で行われる場合が多いです。
大学の研究職の業務・仕事内容
大学で研究職として働くときに求められるのが、教育・研究・地域貢献・組織運営です。
- 教育:授業や研究室の学生指導など
- 研究:実験や計算、学会発表、論文執筆など
- 地域貢献:中学や高校への出前授業など
- 組織運営:学内の委員活動、入試対応など
研究だけのイメージですが、実際は違うのですね。
学生の頃(大学院)は、研究だけをしていればよかったわけですが、大学で働くとなると、研究以外の仕事が増えます。
かといって、現在、私も助教として働いていますが、助教のうちは割と研究に重きを置くことができます。
地域貢献や組織運営にはほとんど関わりません。
今回は、大学の4つの業務のうち、研究に関する業務・仕事内容について詳しく記載していきます。
- 実験や理論に関する研究
- 学会発表
- 論文執筆
- 論文査読
実験や理論に関する研究
まずは実験や理論に関する研究です。
私の場合、一日の就業時間の5割は実験に充てています。
メイン業務はこれですね。
従来研究から課題を抽出し、その課題解決に向け研究方法を考えます。
そして、仮説と検証を繰り返しながら研究を前へ進めます。
私の場合、半導体に関する研究なので、一回の実験で結果が出るまでに比較的時間がかかります。
実験系の研究は…
実験系の研究だと、実験をしないとデータは出てこないので、時間がかかりますし、どれだけ実験をしたかが成果にもつながってきます。
なので土日祝日も実験をするために大学に行っています。
学会発表
実験や理論に関する研究を進めているとデータが蓄積されてきます。
ある程度実験結果が蓄積されると、学会で発表し、対外的に成果を発信します。
学会発表は大きく分けて、国内会議と国際会議に分けられます。
- 国内会議は、国内で行われ、日本語で発表
- 国際会議は、主に海外で行われ、英語で発表
分野にもよりますが、こういった会議は年に8回ぐらい開催されます。
毎年8回発表するのは大変なので、実際に出席するのは年4回ぐらいでしょうか。
学会は研究者が参加しやすいように学生指導のない長期休暇の3月と9月に開催されることが多いです。
学会発表の形式は、口頭発表とポスター発表に分けられます。
口頭発表
口頭発表はパワーポイントなどでスライドを作って、10〜15分程度で発表します。その後、質疑応答が5分ほどあります。
ポスター発表
ポスター発表は、一般にA0サイズの用紙に研究内容を書いてポスターを作成し、ポスターの前で、聞きに来た人に対し説明します。1時間程度行われます。
口頭発表もポスター発表も発表自体は、すぐに終わりますが、発表までの準備が大変です。
私、の場合、学会発表に慣れてない頃は、発表資料の作成に数週間かかっていましたが、最近では数日で作成しています。
学生が発表する場合、1カ月前ぐらいから発表準備を進めてもらいます。
年4回の卒業発表はきついです。。
論文執筆
論文執筆とは、これまでの研究やデータの内容をもとに論文として成果を発信することです。
分野によっても異なりますが、一般に論文は英語で書きます。
論文のボリュームは大きく2つに分けられ、
- ショートペーパーで3~5ページ
- フルペーパーで6~12ページ
といったところでしょうか。
作業工程はこのような感じです。
- 論文原稿の執筆
- 論文出版機関へ投稿
- 専門家による査読
- 指摘された事項の修正・再投稿
- 論文のアクセプト(受理)
まず、論文原稿を執筆します。
一般に論文は概要、背景、実験方法、実験結果・考察、結論、参考文献の順で構成されています。
一通り原稿ができたら、論文出版機関に投稿します。
どの論文誌に投稿するかは、その研究分野の適合性や、結果のインパクトで決めていきます。
論文原稿をどこから書くかは人それぞれですが、概要、背景、結論は最後に回し、まず書きやすい実験方法や実験結果・考察から書くケースが多いと思います。
原稿を論文出版機関に投稿したら終わりではなく、投稿した論文は、その分野の専門家に査読され、いろいろと指摘を受けます。
投稿してから査読結果が返ってくるまで1~2カ月かかるのが一般的です。
査読結果が返ってくると、指摘された点を修正して再投稿します。このプロセスを2~3回繰り返し、最終的に論文がアクセプト(受理)され、論文誌に掲載されます。
論文執筆し始め、投稿できるかたちになるまで1カ月ぐらいはかかります。そこから査読プロセスなので、論文執筆から論文掲載までは半年ぐらいはかかるでしょうか。
大学では一番評価されるのは論文になります。
年間に論文を1本も書いていない教員もいますが、多くの場合、年間2本ぐらいをコンスタントに出す先生が多い印象です。
学会委員活動
学会での委員活動も研究に関する業務の一つです。
私は助教なのでそれほど学会委員活動は多くないですが、准教授以上になると、学会の運営にも携わります。
毎年行われる学会発表の準備が主な仕事です。
学会発表に向けて、プログラムの作成や、司会の準備、発表奨励賞などの表彰の準備などが主な業務です。
学会が開催される数カ月前から準備をし始めます。
昔は東京などのアクセスのよい場所に委員メンバーが集まってミーティングをしていたようですが、最近はオンライン会議で実施しているケースが多いようです。
大体1~2つぐらいの学会委員に所属し、活動をするのが多いイメージですが、中には3つ以上の学会委員に所属し、活動されている先生もいます。
研究以外の業務も大変ですね。。
学会委員活動は、自分の研究や、学生への教育には直結しませんが、学会委員活動を通して、研究者間のコミュニティが形成されるため、非常に重要な業務です。
論文査読
論文査読とは、投稿された論文が学術雑誌の掲載に値するかを精査するプロセスです。
学術雑誌に投稿された論文は、エディター(編集委員)によって、論文をその分野の専門家に振り分け査読されます。
査読を行う理由としては
- 専門家による指摘を受けて論文を改善するため
- 学術雑誌に掲載する価値があるかを判断するため
です。
1つの論文に対し、1~2名の査読者がついて1カ月程度かけて査読します。
査読では、論文の新規性・有用性や信頼性などを評価することで、論文や学術雑誌の品質と信用を保ちます。
私は年に3回ほど査読しています。
査読は時間がかかる作業ですが、お金は一切発生しません。みんなボランティアでやっています。
しかし、学術研究の信頼性を担保するには重要な業務になります。
他にも・・・
このように、大学では研究に関する業務がたくさんあります。
上記以外にも、、、
- 科研費などの外部資金を稼ぐために申請書を書く
- 研究環境のメンテナンス
等の研究に関する業務があります。
自分の研究だけでなく、これらを上手くバランス取りながら、研究実績を積むことが求められます。
まとめ
今回は、大学における研究に関する業務・仕事内容について記載いたしました。
大学では、教育・研究・地域貢献・組織運営が求められます。また、研究では自分の研究以外に多くの業務があります。
大学における研究に関する業務・仕事内容
- 研究や理論に関する研究
- 学会発表
- 論文執筆
- 学会委員活動
- 論文査読