今回記事を担当するのは「まだ」です。
「まだ」は高校まで地元のどがつく田舎町で育ちました。現在は田舎といっても地方都市にはいまして、地方大学の教育・研究職(助教)として働いています。
研究に関しては、大学4年生のときに研究室に入ってから修士課程・博士課程と研究を続け、かれこれ約10年ほど研究ばかりしています。
「まだ」は27歳で博士号を取得してから、ポスドク(任期付き)⇒助教(任期なし)⇒助教(任期付き)を経験し、3つの大学を渡り歩いてきました。(任期なし⇒任期付きは特殊なケースです(笑))
ありだたいことに20代で助教(任期なし)になることができました。
今回は、私「まだ」の経験から、
- 20代助教ってどれくらいいるの?
- 20代助教の生活
- 20代で助教になるには?
などについて記載していきます。
Contents
研究職とは
研究職は学術的アプローチにより、これまでにない技術や理論を創出する仕事です。
研究職は「基礎研究」と「応用研究」に分類できます。
基礎研究
基礎研究は、まだ発見されてない未知の物質や原理を発見し、そのメカニズムなどを理論的に解明していく研究のことです。
基礎研究は、より学術的なアプローチが求められ、大学や国の研究機関で行われている場合が多いです。
応用研究
応用研究は、基礎研究により発見された知識を利用して、実用化に向けて発展させる研究です。
応用研究は、新しい物質や原理を利用して、製品やサービスをつくり出すため、企業で行われる場合が多いです。
20代助教ってどれくらいいるの?
まず始めに大学助教はどれくらいいるのかについてお話します。
- 助教は全国に約3万人
- 助教の平均年齢は約39歳
- 助教の50%は30~39歳
助教ってもっと若いイメージがあったけど、結構年取ってるんですね~
20代の助教はほんの数%しかいません。
そもそも日本の場合、博士の学位を取得できるのが最短で27歳ごろですので、20代で助教になろうとすると学位を取得して2、3年以内にポスドクから助教にならないといけないわけですね。
一般的には、博士課程を修了し、ポストドクター(ポスドク)としての経験を経て、30代半ば以降に助教になるケースが多いです。
助教と言っても、任期付き(一般に5年程度)の助教のポジションも多く、助教になれたからこの先安泰とはならないことが多いです。
「まだ」も現在は任期付き助教として働いています。基本的に任期が終われば大学を出ないといけないので、常勤の教員としての職をつかむためには、任期内に一定の研究業績を出さないといけないというプレッシャーはありますね。
任期付き助教は精神的にはポスドクとそれほど変わりません。
20代助教の生活
では20代助教の生活について記載します。
わたし「まだ」は27歳で学位を取得後、28歳で助教になりました。
助教の生活は正直大変です。(笑)
毎日、12時間以上は働いています。土曜日も働いています。
大学教員は基本、裁量労働制なので、自分で自分の業務の進め方を決定します。完全自己責任ですね。
主な助教の業務は以下になります。それぞれ割合も示しています。
・研究・実験(50%) ・研究室学生への研究指導(20%) ・論文執筆(10%) ・授業および授業準備(10%) ・学会発表準備(5%) ・外部資金獲得のために申請書作成(2.5%) ・各種委員活動(2.5%)
一つ一つ簡単に説明していきます。
研究・実験
やはり研究・実験をする時間が最も多いです。日々、実験計画(仮説)⇒ 実験(検証)を繰り返しています。学生の頃は研究に100%集中できていましたが、助教になると、その他の業務が増えるため研究・実験できる時間は50%程度です。
・研究室学生への研究指導
研究室学生への研究指導もなかなか大変です。助教になると、独立した研究室を与えられる場合と、教授の研究室に所属する場合があります。どちらも研究室には毎年数名の学生が研究室配属されてきますので、そういった学生の面倒を見るのは基本助教の役目です。自分で考えて、行動してくれる学生ならいいですが、多くの学生は最低限の労力で学位を取ろうとするため、指導が大変です。
論文執筆
大学教員の業績評価で、最も評価されるのが学術論文になります。できるだけインパクトファクターの高い論文誌に掲載できるよう頑張っています。論文執筆では従来研究を調べて、比較する必要があるため、論文を書くより既報論文を読む方が時間がかかります。
授業および授業準備
助教になると授業をする必要があります。最初のうちは、学生実験や演習といった授業がメインになります。授業の準備・授業・授業後のレポート採点、などをする必要があります。
学会発表準備
学会発表も重要な仕事です。10~15分の発表資料を作成します。人によりますが、「まだ」の場合、2カ月に1~2回は学会に参加していますので、出張に行っている時間が結構ありますね。
外部資金獲得のために申請書作成
研究するにはお金が必要です。科研費、民間財団の助成金、共同研究などで外部から研究費を稼いでくる必要があります。毎年大学から支給される運営費交付金(数十万円)だけでは、十分な研究はできません。研究費は研究成果に直結するため外部資金獲得のための申請書作成は重要な業務です。
各種委員活動
委員活動には、大きく分けて2つあります。一つは、大学運営にかかわる学内の委員活動です。具体的には、教育委員会、学生支援委員会、国際交流委員会、などがあります。もう一つは、○○学会や○○研究会などの委員メンバーになると、学会・研究会運営のための仕事があります。具体的には、学会開催のための準備(プログラム決め)などがあります。
20代で助教になるには?
さてここからは、どうやったら20代で助教になれるかについて記載していきます。
まずは、できるだけ早く博士の学位を取ることが最優先です。
そして大学人事で最も評価されるのは学術論文ですので、どれだけ多くの論文を第一著者として書けているかが重要です。
第一著者じゃないと評価されないんですよね~
また20代のうちは、論文は質より量の方が重要と思います。
つまりインパクトファクターの高い論文が1報あるより、インパクトファクターそこそこの論文が5報ある方が良いと思います。
論文の量が増えてきたら自然と質も上がってくるはずです。
さらに、採用する側の立場を考えると、若い20代の助教を採用するということは、実績より将来性に期待している可能性もあります。
なので、論文は少なくても、積極的に学会発表したり、国際的に活躍しようとする姿勢を示すことが重要です。
また、科研費などの外部資金を取れていると採用されやすくなります。大学側も、お金を稼いでくれる教員に来てほしいですからね。
大学の募集に応募するには、大学のウェブサイトや求人情報(JREC-IN Portal - 国立研究開発法人 科学技術振興機構など)をチェックし、応募条件や応募方法を確認することが必要です。
最後に面接では、自身の研究業績や研究テーマに対する熱意やビジョンをしっかりとアピールすることが重要です。また、大学での教育業績や、研究室での貢献などもアピールすることで、より優れた印象を与えることができます。
まとめ
今回は20代で助教はすごいのか、20代助教はどれくらいいるのか、20代助教の生活、20代で助教になる方法、について記載しました。ポイントを以下にまとめます。
- 全国に助教は約3万人
- 助教の平均年齢は約39歳
- 助教になっても任期付きのポジションが多いく生活は不安定
- 助教になると研究以外の業務も増える
- 20代で助教になるには、論文の数、積極性、外部資金獲得実績が重要