今回記事を担当するのは「まだ」です。
「まだ」は高校まで地元の田舎町で育ちました。
田舎といっても地方都市にはいまして、現在、地方大学の教育・研究職(助教)として働いています。
研究に関しては、大学4年生のときに研究室に入ってから修士課程・博士課程と研究を続け、かれこれ約10年ほど研究ばかりしています。
将来、大学や企業で研究者として働きたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
これまで私「まだ」はいくつかの大学でポスドクや助教を経験してきました。その中で何度も病んだことがあります。(笑)
今回は、「まだ」の経験から
- 大学と企業の研究職の違い
- 大学の研究職における病みエピソード
- 大学研究職の病みやすい構造
- 研究職で病まないようにするには
などについて記載していきます。
👇本ブログは「まだ」・「だま」の2人で運営中
研究職とは
研究職は学術的アプローチにより、これまでにない技術や理論を創出する仕事です。
研究職は「基礎研究」と「応用研究」に分類できます。
基礎研究
基礎研究は、まだ発見されてない未知の物質や原理を発見し、そのメカニズムなどを理論的に解明していく研究のことです。
基礎研究は、より学術的なアプローチが求められ、大学や国の研究機関で行われている場合が多いです。
応用研究
応用研究は、基礎研究により発見された知識を利用して、実用化に向けて発展させる研究です。
応用研究は、新しい物質や原理を利用して、製品やサービスをつくり出すため、企業で行われる場合が多いです。
大学と企業の研究職の違い
大学と企業では研究の進め方やスタイルが大きく異なります。
以下に主な違いを示します。
1、研究目的と方向性
- 企業の研究職: 企業の研究職は、主に新製品や新技術の開発、市場競争力の向上、特許の取得など、事業の目標達成や利益追求を目指して研究を行います。利益を生むことが企業の存在意義であるため、研究は市場需要や競争状況に合わせて方向性を持ちます。
- 大学の研究職: 大学の研究職は、より基礎的な研究や学術的な知識の増進を目指します。探究心や学問の発展、社会への貢献を重視し、産業や経済的な要求に直接的には縛られず、自由な研究方向を持つことが多いです。
企業は目的が明確ですが、大学の場合は研究の自由度が高く、人によって目的が異なっているのです。
2、資金と予算
- 企業の研究職: 企業の研究は多くの場合、企業の予算や市場の要求によって支援されます。研究の目的は、商品やサービスの開発や改善につながることが期待され、利益に直結することが求められます。
- 大学の研究職: 大学の研究は、政府の助成金、寄付、基金、学内の予算など、様々な資金源によって支えられることが一般的です。基礎研究や学問の発展を重視するため、直接的な利益よりも長期的な社会的価値が重視されます。
大学の場合、個人で政府の助成金に応募するなどして、外部からお金を稼いでくる必要があります。外からはわかりづらいですが、研究費の潤沢な研究室と貧乏な研究室が存在します。
3、研究スタイル
- 企業の研究職: 企業の研究はプロジェクトベースで、効率と成果を重視します。多くの場合、チームで協力して、目標に向かって計画的に進められます。
- 大学の研究職: 大学の研究は自由度が高く、個人の興味や好奇心に基づいて展開されることがよくあります。独自のアプローチや長期的な視野を持つことが奨励されます。
企業の場合、多くの人と協力しながら研究開発を進めますが、大学の場合、研究室単位の小さなグループでボス(教授)のやりたい研究を自由に行います。
4、研究成果の公開
- 企業の研究職: 企業の研究成果は競争の観点から、他社との差別化を図るために秘密にされることがあります。特許やノウハウの保護が重視されます。
- 大学の研究職: 大学の研究は一般的に公開されることが多く、学術雑誌や学会での発表、研究論文の公開が行われます。知識の普及と学問の発展が主な目的です。
一般的に、企業では特許、大学では論文が最も評価されます。
大学の研究職における病みエピソード
さてここから、わたし「まだ」の病みエピソードについて記載していきます。
地方大学で学部・修士・博士と9年間過ごした後直ぐに、運よく地方大学の助教(任期なし)の職に就くことができました。
任期なしとはいえ、独立した研究室をもった研究室の主宰者(PI)になれたわけではありません。
着任してから准教授の先生と共同で研究室運営をすることになりました。
「まだ」のように実験系の研究の場合、着任して直ぐは研究分野の近い先生の研究室と一緒になって、実験装置などを借りて研究をスタートするのが一般的です。
着任して直ぐは、研究環境に慣れたり、担当する授業の準備などで、あっという間に時間が過ぎました。
研究内容としては、私が立案・計画して実施する研究に加え、実験環境を借りる建前上、一緒に研究室運営する先生の研究も行っていました。
着任してから、約1年が経った頃、私がメインで行っていた研究で良い結果が出て、研究成果が権威ある論文誌に掲載されました。
その後、外部の大学や企業から共同研究のお話をいただくようになり、助教になって研究・教育とも順風満帆に進んでいました。
ところが、この頃から一緒に研究室運営をしていた先生の様子が変わってきました。
突然、実験装置の使用を禁止され、研究室のLINEグループからも外されました。
完全にパワハラを受けました。。。
そこから数か月間「まだ」は、研究を継続できなくなり、外部との共同研究は全く進みませんでした。
時間が経つにつれ研究が進まないことへのストレスが溜まり、次第に精神的に疲れていきました。
流石にこのままでは、ダメになってしまうと思い、大学を移ることを考え出しました。
しかし、大学の助教のポジションはそう簡単に見つかりません。
そんなころ、「まだ」と共同研究をしていた学外の先生から研究の進捗について聞かれました。
正直に現状を伝えたました。
すると、研究室で助教を募集するから応募しないかと言われました。
「まだ」は幸運なことに、数か月後にその先生の所属する大学を異動することができました。
異動してからは精神的にも安定し、研究に打ち込めるようになりました。
なぜあのようなパワハラを受けたのでしょうか?
周りの先生に聞くと、完全な妬みだと言われました。
共同で研究室を運営した先生より、研究でより良い成果を出して、研究費を稼いだ結果、妬まれて実験装置の使用を禁止されたり、LINEグループから外されたりしました。
大学には変わった先生が多く、時には今回のようにサイコパス的な人も出てきます。
大学研究職の病みやすい構造
「まだ」が思うに、大学研究職は病みやすい構造になっていると思います。
それは上記の「大学と企業の研究職の違い」から分かります。「まだ」が受けたパワハラを例に説明していきます。
1、研究目的と方向性で、企業は目的が明確ですが、大学の場合は研究の自由度が高く、人によって目的が異なっています。
大学の研究者は基本的にどんな研究をしても許されます。また大学の先生はプライドが高いので、自分の研究に誇りを持っています。今回の「まだ」のように研究分野が近いという理由で共同で研究室運営をして、実際に一緒に運営していく中で方向性の違いにより上手くいかないケースがよくあります。
2、資金と予算で、大学の場合、個人で政府の助成金に応募するなどして、外部からお金を稼いでくる必要があります。
研究室の中で、教授より助教が研究費を多く稼ぎ始めると、関係はギクシャクします。今回「まだ」のケースでも、私が、外部との共同研究などで研究費を多く稼ぎ、関係が悪くなりました。
3、研究スタイルでは、企業の場合、多くの人と協力しながら研究開発を進めますが、大学の場合、研究室単位の小さなグループでボス(教授)のやりたい研究を自由に行います。
昔は、大学の研究室は、教授・准教授・助教で構成されたガチガチの講座制だったため、グループのボス(教授)の認めた研究しかできませんでした。しかし最近の国の方針は、若い教員にも自由な発想で自立した研究を推奨しています。「まだ」は運が悪いことに自由な研究を許してもらえませんでした。また、パワハラが起きても、研究室は閉鎖的なため周りの人は気づきずらいです。実際「まだ」がパワハラを受けているとき、研究室以外の人は全く気付いていませんでした。
4、研究成果の公開では、一般的に、企業では特許、大学では論文が最も評価されます。
「まだ」は論文掲載を最優先に考えて研究をしていましたが、一緒に研究室運営していた先生は違ったようです。価値観の違う先生と一緒に研究を進めるのは不可能です。
研究職で病まないようにするには
研究職で病まないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。
大学の企業に比べ、パワハラが起こりやすく、企業に比べ大学はパワハラ対策が十分でないように思います。
正直、独立して自分の研究室を持てるまでは、研究室のボスと上手くやっていくしかありません。
自分のやりたい研究ができず、そのボスに付いていっても、研究成果(論文)が出せないと感じたら、そのボスから逃げるのが一番だと思います。
ボスを変えようと思っても、今更変わりません。ずっと我慢するのは時間の無駄です。
今は転職の時代です。大学で転職はそう簡単ではありませんが、積極的に学会などに参加し、他大学の先生と友達になっておけば、助けてもらえるかもしれません。
👇本ブログでは「研究職を目指すにあたって学生時代にやっておくとよいこと3選」についても記載しているので、是非そちらもご覧ください。
まとめ
今回は、研究職はメンタル強くないと病むのかについて記載しました。以下にまとめます。
- 大学は企業の研究職に比較し、構造的に病みやすくなっている
- 研究室のボスと価値観が合わず、部下が成果を出すと、パワハラを受ける
- ボスからパワハラを受けて病みそうになったら、すぐに逃げるべき